書 名マンガの論点 21世紀日本の深層を読む
著 編中条省平
協 力
出 版幻冬舎
発行日2015年5月30日
発行地東京
定 価1700
たてcm18
よこcm11
【備考】
ISBN9784344983809
幻冬舎新書379
【内容】
[目次]
まえがき

T 「俺はまだ本気出してないだけ」だった第一次安倍政権の頃
『デスノート』<処刑=大量殺人>それは、神になりたい若者たちの、肥大した理性のゲーム
リストラとフリーター、若くても若くなくても、生きていくのが、いまこんなにもつらい『55歳の地図』と『ソラニン』
ニッポン少女マンガの「あこがれ」に、いまフランスがあこがれる『パリ〜東京』『さくら並木』
「自分」という不可解な人間への畏れを静かに表現する、登場人物たちの黒いモノローグ『すーちゃん』『ストロベリーショートケイクス』
国家、玩物、愛―きみは何のためなら死ねるか?『へうげもの』『シグルイ』『大奥』
友情も人望もオレには何もない、と思ったとき男は何をするか?『わにとかげぎす』『最強伝説 黒沢』
2006年「このマンガ」ベスト10は、中条ベスト10とこんなに違う!?

U 70年代とテロと戦争に早くもマンガは憧れ始めていた
天才のコマ割り―進化するスピード表現と超越する時間『少女ファイト』『竹光侍』
不老不死・心臓喰らい・夢―ふたたび35年後の大傑作『バルバラ異界』
きみが支援すべき未来の戦いはどちらか?
音楽は時とうつろい『マエストロ』
激辛悪漢物語はサラ金法改正でどう変わるか?『闇金ウシジマくん』
世界をリセットするために、戦争を待望する人々『EDEN』
古くて見苦しく臭いあの頃の奇妙な魅力
クールの誕生―萩尾・吉田・よしながに見る『近代的内面』の変遷
サイバラのすきだったひと『毎日かあさん』
かぎりなく絶望に近い怒り『海獣の子供』『おやすみプンプン』
モチーフなき、精巧かつ壮大なフィクション『20世紀少年』
回顧 2007年の謎と現実

V 多かれ少なかれ国家は北朝鮮的にならざるを得ないのかもしれない
完全に改心した死刑囚が旅立つのは、天国へ?地獄へ?郷田マモラ『モリのアサガオ』
悟りと執着―マンガ家の人生観『俺はまだ本気出してないだけ』『僕の小規模な生活』『かむろば村へ』
肉親への絶望感と愛おしさ花輪和一『刑務所の前』
3人の驚くべき50代女性マンガ家の最新作 樹村みのり『見送りの後で』、岩館真理子『見上げてごらん』、くらもちふさこ『駅から5分』
インドには馬鹿がよく似合ふ山松ゆうきち『インドへ馬鹿がやって来た』
萩尾望都級のマンガ・モンスターとなるか?オノ・ナツメ『リストランテ・パラディーゾ』『not simple』
ギャグに殉じた精神の人山上たつひこ『山上たつひこ撰集』全5巻ほか
生き延びる力の純粋な輝き!ああ、読んでよかったよ。望月峯太郎『万祝』
暗闇では、他人が、いつ復讐してくるかわからない敵に見える映画「ダークナイト」とフランク・ミラー
触れれば血の出るような言葉業田良家『独裁君』『新・自虐の詩 ロボット小雪』
女と悪魔とロバート・ジェンソン 平本アキラ『俺と悪魔のブルース』
すぐに忘れ去られるマンガが居並ぶ2008年ベスト10

W 世界の終わりになっても「金、金」言いすぎる罪と罰
3つの短篇集『大金星』『HOTEL』『世界の終わりと夜明け前』
誕生時から「遠く」をめざした劇画の50年『完全復刻版「影」「街」』と辰巳ヨシヒロ『劇画漂流』
「金、金」言う母、西原理恵子が教えてくれること『毎日かあさん』『かむろば村へ』
究極の悪の帝国から生まれる深いニヒリズム『ウォッチメン』
落合尚之版『罪と罰』の現代的リアリティ
手塚治虫と杉浦茂
戦争の果たした役割『劇画バカたち!!』『隣室の男』『この世界の片隅に』
「完璧なロボット」とは何か?浦沢直樹『PLUTO』
古典のマンガ化に見られる新解釈の面白さ「まんがで読破」シリーズ、桜壱バーゲン『変身』、古屋兎丸『人間失格』
マイナー部活マンガは和ものが花盛り『ちはやふる』『とめはねっ!』『お茶にごす。』
マンガ史上、空前絶後の異空間アラン・ムーア『フロム・ヘル』
2009年年間ベスト12

X マンガの神は、テクニックでなくソウルでマンガを描く?
谷口ジローの2つの醍醐味『センセイの鞄』『犬を飼うと12の短編』ほか
「食べる」が「生きる」になるゼロ年代のバイタリティよしながふみ『きのう何食べた?』
炭取はまわったか?―鬼太郎のいない遠野『水木しげるの遠野物語』
わび・さびが野望に変わるとき山田芳裕『へうげもの』、黒鉄ヒロシ『信長遊び』
マンガで大事なものテクニックじゃなくて、ソウルですかね?西原理恵子『西原理恵子の人生画力対決』、西岡兄妹『カフカ』
松本大洋『竹光侍』に見る日本美術の血脈
人間の尊厳を踏みにじる黒い笑い『ラクダが笑う』
「手塚治虫がマンガの個性をぶち壊した」史観の誕生
傷痍軍人から、戦争を忘れ去る日本人へ水木しげる『総員玉砕せよ!』ほか
改名ミネタロウが挑んだ人間の究極の恐怖
死への畏れと生への意志 比嘉慂『砂の剣』『マブイ』『美童物語』
フランスの大型こってりマンガ、BDはご存じですか?クレシー『天空のビバンドム』『氷河期』、ラバテ『イビクス』
2010年マンガ、3つのベスト10
凝りに凝った2つの長篇「ハガレン」と「ジミコリ」完結『鋼の錬金術師』『ジミー・コリガン』

Y 震災の年、ゾンビに癒されて
暴力に閉じこめられた魂を、暴力が牢獄から解放するとき室井大資『ブラステッド』
描くべきことがない―緻密で高度な作画技術の裏の巨大な弱点『マンガの経済学』『マンガの創り方』『ファン・ホーム』
第20回手塚治虫文化賞選考現場から村上もとか『JIN―仁―』ほか
No.1は本当に日本か!?日本人が知らない世界マンガの沃野小野耕世『世界コミックスの想像力』、ウォード『狂人の太鼓』、タン『アライバル』
ランボーみたいな天才の1968年作品佐々木マキ『うみべのまち』
記憶の迷宮―ルーヴルを流れる時間マチュー『レヴォリュ美術館の地下』、荒木飛呂彦『岸部露伴ルーヴルへ行く』ほか
絶対に神の姿を描く―いがらしみきおの決意いがらしみきお『I【アイ】』
ウェルメイドな8作品岡崎京子『森』、高橋留美子『運命の鳥』、ヤマザキマリ『PIL』ほか
没後22年、蘇る手塚治虫「赤本時代」の情熱『手塚治虫クロニクル』『SF三部作完全復刻版と創作ノート』
マンガをこえた!?多彩なユーロマンガの収穫5作品ロカ『皺』、ヴィンシュルス『ピノキオ』、ビラル『モンスター』他
2011年のマンガ、ベスト10―スタンダードなき時代の傑作たち

Z フラット化された世界に残されたのは友情とグルメ
超絶の画力とカフカ的想像力―『闇の国々』の異様な吸引力
『鋼の錬金術師』作者が描く、畜産高校生のリアル青春物語!『銀の匙』ほか
マンガだから描ける、複雑でシンプルなたった3秒間の世界マチュー『3秒』
大友克洋の倫理とポストモダンの表象「大友克洋GENGA展」
絶対的な友情10年の物語小玉ユキ『坂道のアポロン』
食マンガの現在『酒のほそ道』『めしばな刑事タチバナ』『そばもん』ほか
漫画家残酷物語―なぜ60歳で死んでしまうのか
画力以上に卓抜した哲学的思想と想像と物語五十嵐大介『海獣の子供』
大友克洋も降参した!?クレシーの最新翻訳2作品『レオン・ラ・カム』『サルヴァトール』
マンガ家たちの赤裸々な性生活吉田豪『人間コク宝まんが道』
近親相姦、両性具有…奇妙奇天烈で異常な、精神分析家族物語ホドロフスキー&ヒメネス『メタ・バロンの一族』
2012年のベスト10―マンガの歴史的重要性から遠く離れて

[ 底なしの闇から見上げるは美しき夜の空襲と紺碧の空の白い雲
ユーモアとカリカチュアが、底なしの闇に直結する凄みいがらしみきお『羊の木』
塚本邦雄なら初期の山上たつひこをどう読むか?「山上たつひこ初期傑作選」全3巻
2つのロング・インタビュー近藤ようこ『戦争と一人の女』、浅野いにお『うみべの女の子』
少年少女向けマンガが描いた、あの戦争をいま読む『シリーズ漫画家たちの戦争』(全6巻)
ゾンビに噛まれる『ウォーキング・デッド』『アイアムヒーロー』『Z』
BD―さらに新発見を待つ未開の大陸スクイテン『ラ・ドゥース』、原正人[監修]『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』
次々と繰りだされる自意識のギャグ施川ユウキ『バーナード嬢曰く。』『鬱ごはん』『オンノジ』
雲は天才である今日マチ子『U』『みつあみの神様』『mina-mo-no-gram』『アノネ、』
マンガ評論の2つの精華『消されたマンガ』『マンガの食卓』
陶然とせよ!空間変容の魔術ペータース&スクイテン『闇の国々』シリーズ第3巻・第4巻
2つの「マンガベスト10」から思うこと―マンガの自己言及性への危惧

\ ゴジラの中にいるのは、どこの何の神か?
吉沢潤一とは何者か?このデタラメな展開、無責任なユーモアがすごい!吉沢潤一『ギャル男vs宇宙人』
「マンガとは何か?」に答えた繊細なる知的蛮勇三輪健太朗『マンガと映画 コマと時間の理論』
手塚治虫文化賞選考会での白熱論争から2つの作品雷句誠『どうぶつの国』、岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』
「国境なき医師団」を描いた戦闘なき戦争の狂気エマニュエル・ギベール『フォトグラフ』
2014年に邦訳刊行されたフランスマンガの3重要作品『テプフェール マンガの発明』『ローン・スローン』『チェルノブイリの春』
「男になりたい」という根源的欲望小林まこと『関の弥太ッペ』『リトル・ニモの大冒険』はやっぱりすごい!
「大島弓子―失われた性をこえて」序論福田里香+藤本由香里+やまだないとと『大島弓子にあこがれて』
101536